
2026.10.01
あなたが死んだあと、誰があなたを呼ぶのか。―シリーズ「お墓は、命のバトン」

その日。
お墓の前に、誰も立たなかったとしたら。
あなたは、どう感じますか。
自分の命日のことを、考えたことがない。
そう答える人は、もしかすると、考えないようにしてきた人なのかもしれません。
想像してください。
あなたの名前が、石に刻まれる。
刻む音。
舞う粉。
削られた溝に、白い石の粉が浮かび上がる。
何年かが過ぎる。
その溝に雨が溜まり、やがて苔が生える。
誰も来なければ、苔は名前を、ゆっくりと埋めていく。
管理する人がいなくなったお墓は、「無縁墓」と呼ばれます。
名前は、ある。
けれど、呼ぶ人がいない。
もし、あなたの名前が、誰にも呼ばれずに終わるとしたら。
あなたは、どうしますか。
すぐに答えられなかったなら。
その沈黙こそが、いまのあなたの現在地なのかもしれません。
今日10月1日は、アントニオ猪木さんの命日です。
2022年、79歳。
子どもの頃に暮らした横浜・鶴見の總持寺にある猪木家の墓前には、一周忌に約1,000人が訪れたと報じられました。
何をしに行ったのでしょう。
私は、「元気をもらいに行った」のだと思っています。
「元気ですか!」
生きている間、人に問い続けた人でした。
だから、亡くなってからも、その問いを受け取った人が、お墓の前に立つ。
死者から、元気をもらう。
不思議な話です。
けれど、よく考えてみれば、それほど不思議ではありません。
お墓の前に人が立つかどうか。
それは、その人が生きている間に、何を渡したかで決まるのではないでしょうか。
では、あなたは。
今日、誰に、何を渡しましたか。
言葉でもいい。
笑顔でもいい。
仕事でもいい。
勇気でもいい。
「元気か?」
その一言でもいい。
浮かばないなら、まだ間に合います。
あなたは、まだ生きています。
墓前に立つと、不思議なことが起きます。
時間が、重なるのです。
石に刻まれた、先祖の名前。
苔の匂い。
――過去。
手桶の水が冷たい。
指先が、ひと呼吸遅れて冷たさを思い出す。
――いま。
砂利を、小さな子どもが運動靴でけってあそんでいる。
この場所の意味を、まだ知らない。
――未来。
過去と、いまと、未来。
三つの時間が、同じ石の前で、同じ風に吹かれている。
射場石利石材は、1702年から石と向き合ってきました。
324年。
墓地を歩いていると、わかることがあります。
古い名前ほど、角が丸くなっている。
新しい名前ほど、角がまだ尖っている。
風雨と、誰かの指が、長い時間をかけて丸めた角です。
私たちは、親の名前を指でなぞる人を、何度も見てきました。
ゆっくり。
一文字ずつ。
その指先には、言葉にならない何かがある。
丸くなった名前の前には、きっと、来続けた人がいたのです。
石は、千年以上もちます。
けれど。
人は、石では作れません。
名前が呼ばれ続ける。
名前に触れる人がいる。
そのつながりが、命を孤独にしない。
私たちが石でつくれるのは、そのための「場」です。
そして、最後の一片をつくるのは、あなたです。
生きている、あなたです。
墓前に立つと、人は何かを思い出します。
言えなかった一言。
行かなかった見舞い。
かけなかった電話。
はじめは、後悔の形をしています。
けれどその石の前に立ち続けると、後悔は少しずつ形を変えていきます。
「次は。」
「次は、必ず。」
そう思えるようになります。
そして帰り道。
駅までの坂を、来たときより少しだけ速く歩いている自分に気づく。
顔を上げている。
背筋が、ほんの少し伸びている。
それでいいのです。
それが、命のバトンなのだと思います。
お墓は、死んだ人と話す場所ではありません。
生きている人が、もう一度、生き方を決める場所です。
だから今日。
ひとりの名前を、思い浮かべてください。
そして、その人に連絡してください。
用件は、なくていいのです。
「元気?」
それだけでいい。
あなたの名前を、いつか呼ぶ人は、いま、どこにいますか。
そしてあなたは、その人に、何を渡していますか。
お墓。
それは、死を思う場所ではありません。
今日を、もう一度生きる場所。
明日へ、元気を渡す場所。
命は、誰かの身体ではなく、生き方の中で受け継がれていきます。
あなたが今日、誰かに渡したものも。
いつか、誰かの中で生きるかもしれない。
おかえりなさい。
秋風の吹く墓道を、来たときより少しだけまっすぐ歩いて、帰れますように。

石の個性と、家族の物語をつなぐ。
命のバトンを、未来へつなぐ伴走者。
射場石利石材株式会社
六代目当主 射場一之
【基本情報】
所在地:大阪府茨木市新和町16番19号
電話番号:0120-148-183
営業時間:8:00~18:00
定休日:年末年始のみ
メール:[info@iba.co.jp](mailto:info@iba.co.jp)
LINE:https://line.me/R/ti/p/@582fiyxj
【資格】
◇ 大阪府知事許可(般-4)第87663号
◇ 労働大臣認定 1級技能士石加 第84号
◇ 経済産業省公認 石匠位認定 第89001号
◇ お墓ディレクター1級 05-100101-04
◇ 建築石材アドバイザー 222034
◇ 相続診断士 20333425
◇ 終活ガイド 00005872
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