
2026.09.29
あなたが死んだあと、「おやすみ」を言う人はいますか。――シリーズ「お墓は、命のバトン」

あなたが死んだあと、この家で、誰が「おやすみ」を言うのでしょう。
少し、嫌な質問かもしれません。
だから、多くの人は考えません。
お墓のことは、いつか考えればいい。
まだ元気だから。
まだ先のことだから。
お墓参りも、年に何度か行っている。
それで、「ちゃんとしている」と思っている。
でも。
もしかすると、それは「ちゃんとしている」のではなく、大切なことを、先送りしているだけなのかもしれません。
新聞に、こんな一首が掲載されていました。
夫の骨まだ一つ家にわれと棲む銀河しづけき夜なり おやすみ
心に残ったのは、「骨」でも「銀河」でもありませんでした。
最後の、「おやすみ」でした。
「骨」と「棲む」。
そして、「おやすみ」。
ここからは、私の読みです。
この方は、毎晩、そばにある骨壺に、「おやすみ」と声をかけているのではないか。
そう思いました。
それは、悲しみを繰り返すための儀式ではありません。
むしろ逆です。
今日を生きるための、小さな習慣なのではないか。
夜、灯りを消す前に、「おやすみ」。
たった、それだけ。
けれど、そのひと言で、今日という一日を閉じることができる。
そして、また朝が来る。
湯を沸かす。
ご飯を食べる。
一日を始める。
「おやすみ」は、亡くなった人のためだけの言葉ではないのかもしれません。
残された人が、明日を生きるための言葉でもある。
だから、この歌は、悲しいだけの歌ではない。
私はそう感じました。
……では。
ここで、あなたに聞きたい。
その「おやすみ」は、いつまで続くのでしょう。
あなたにも、いつか順番が来ます。
そのとき。
棚の上の箱に向かって、「おやすみ」と言う人はいるでしょうか。
その人は、どこへ行けばいいのか知っているでしょうか。
何も決めないまま、家族の誰かが亡くなったとき。
遺された人は、思っている以上に迷います。
骨壺を抱えたまま、何年も過ごす。
誰に相談すればいいのかわからない。
兄弟にも、言い出せない。
「どうする?」
そう聞くことさえ、亡くなった人を忘れるような気がしてしまう。
そして、少しずつ。
家族の間に、言葉にならない距離が生まれていく。
射場石利石材は、三百二十四年、そうした家族の姿を見てきました。
だからこそ、言いにくいことを、あえて言います。
決めないことは、遺された人に「決める」という仕事を渡すことです。
しかも、それは簡単な仕事ではありません。
愛する人を失った直後に、「これから、どこで供養するのか」まで決めなければならない。
それは、思っている以上に重い。
だから、「まだ決めなくてもいいよ」は、やさしさに見えることがあります。
でも。
そのやさしさが、未来の家族に、大きな宿題を残してしまうこともある。
では、お墓とは何なのでしょう。
石でしょうか。
違います。
少なくとも、私はそう考えています。
お墓とは、過去にいる人と。
いまを生きている人と。
まだ会ったことのない、未来の誰かが。
同じ場所で、「おやすみ」を言える仕組みなのではないか。
命は、誰かの身体の中だけに残るものではありません。
生き方の中に残る。
言葉の中に残る。
家族の記憶の中に残る。
そして、次の世代へ渡っていく。
だから、私たちが三百二十四年守ってきたものは、石だけではありません。
人が、孤独にならないための場所。
その仕組みです。
「お墓は、命のバトン」。
この言葉には、そんな意味を込めています。
では。
あなたは、今日、何ができるでしょう。
難しいことではありません。
今週、家族に一度だけ、こんな話をしてみてください。
「もし私が死んだら、どこで『おやすみ』を言ってほしい?」
きっと、「縁起でもない」と笑われるかもしれません。
それでいい。
その笑いのあとに、はじめて話せることがあります。
どこに眠りたいのか。
誰に来てほしいのか。
何を残したいのか。
家族に、何を伝えておきたいのか。
死について話すことは、死を近づけることではありません。
むしろ。
残された時間を、どう生きるかを考えることです。
後悔は、覚悟に変えられる。
覚悟は、今日を生きる力に変えられる。
だから。
「おやすみ」を、消さないでください。
それは、亡くなった人のためだけの言葉ではない。
残された人が、明日も生きていくための言葉です。
そして、その場所をどう残すのかを決められるのは、まだ、生きている私たちです。
お墓。
それは、死んだ人をしまっておく場所ではありません。
今日を生きる人が、明日もまた笑顔で生きていくための場所。
そして、「おかえりなさい」と言える場所なのかもしれません。
秋の夜長。
あなたの「おやすみ」が、次の誰かへ。
そのまた次の誰かへ。
命のバトンとして、まっすぐ届きますように。

石の個性と、家族の物語をつなぐ。
命のバトンを、未来へつなぐ伴走者。
射場石利石材株式会社
六代目当主 射場一之
【基本情報】
所 在 地:大阪府茨木市新和町16番19号
電話番号:0120-148183
営業時間:8:00~18:00
定 休 日:年末年始のみ
メ ー ル:info@iba.co.jp
L I N E :https://line.me/R/ti/p/@582fiyxj
【資 格】
◇ 大阪府知事許可(般-4) 第87663号
◇ 労働大臣認定 1級技能士石加 第84号
◇ 経済産業省公認 石匠位認定 第89001号
◇ お墓ディレクター1級 05-100101-04
◇ 建築石材アドバイザー 222034
◇ 相続診断士 20333425
◇ 終活ガイド 00005872
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