
2026.09.18
墓石は、死者のためにあるのではない。シリーズ「お墓は、命のバトン」
※本稿は、詩人・石垣りんの詩「村」を題材に、筆者の視点で再構成したものです。詩の文章そのものの引用・要約ではありません。筆者の実体験でもありません。

あなたは、何を抱きしめてきたのですか。
骨壷ですか。
位牌ですか。
それとも、墓石そのものですか。
そのどれを抱きしめても、あなたが本当に欲しかった人は、戻ってきません。
子どもの頃。
大人に隠れて、墓石に頬を寄せたことがある人がいます。
冷たい石に、自分の体温を分けてやろうとした。
そうすれば、少しは温かくなって、動き出すかもしれない。
本気で、そう思っていた。
でも、動きませんでした。
石は、ただ冷たいままでした。
そのとき初めて、「いない」ということの重さを知る。
人が亡くなるというのは、「見えなくなる」ことではない。
「もう、会えない」という現実が、残された人の人生に、ずっと存在し続けることなのかもしれません。
法要の席は、不思議なくらい賑やかです。
親戚が集まる。料理が並ぶ。昔話が始まる。
笑い声さえ聞こえてくる。
けれど。
その賑わいの真ん中で、ふと気づいてしまう。
ここには、一番大切な人がいない。
この賑わいは、その人のために集まったものなのに。
その人だけが、ここにいない。
だから、こんなに賑やかなのに、こんなに寂しい。
そんな席が、人生にはあるのです。
では、お墓とは何なのでしょうか。
「あの人がいる場所」
そう思いたくなる気持ちは、よく分かります。
けれど、あの人は、もう帰ってきません。
お墓は、死者をそこに閉じ込めておく場所ではない。
まして、死者の代わりになるものでもない。
お墓は、「いない」という現実を抱えながら、それでも残された人が、今日を生きていくための場所なのではないでしょうか。
だから人は、動かない石の前に立つ。
石に、手を触れる。花を供える。話しかける。
そして、また日常へ帰っていく。
それは、いなくなった人を確かめるためではない。
いなくなった後も、自分の中には、その人から受け取ったものが残っている。
そのことを、確かめるためなのかもしれません。
射場石利石材が、長い年月、彫り続けてきたもの。
それは、「戻ってこない誰か」の代わりではありません。
戻ってこないと知った上で、それでも、今日を生きていく人の支えになる石です。
冷たい石に、体温を分けようとした子どもが、大人になって、また同じ石の前に立つ。
今度は、石が動かないことを知っている。
それでも、その石に触れる。
そこに、「たしかに、この人が生きていた」という記憶を重ねる。
そして、その人から受け取ったものを、自分の人生へ持ち帰る。
それが、私たちの考える「お墓」です。
人は、死んでも、その人が生きた時間まで消えるわけではありません。
口ぐせ。仕草。考え方。
家族への愛情。仕事への姿勢。
誰かにかけた、たった一言。
そういうものが、残された人の中に、少しずつ受け継がれていく。
命は、誰かの身体だけに宿っているのではない。
その人の「生き方」の中にも、確かに残っていく。
だから、命のバトンは、死で途切れるとは限らない。
受け取った人が、また誰かへ渡していく。
その連鎖の中に、命は生き続ける。
いない。
それは、悲しいことです。
無理に、「前向きなこと」に変えなくてもいい。
会いたいなら、会いたいままでいい。
寂しいなら、寂しいままでいい。
それでも、今日を生きていく。
ときには笑う。誰かを愛する。仕事をする。ご飯を食べる。
子どもに、「おかえり」と言う。
その一日一日の中に、あなたが受け取った命が、少しずつ姿を変えて、生きている。
お墓は、死者を未来へ連れていくものではない。
残された私たちが、受け取った命を、未来へ渡していくための場所なのだと思います。
お墓。
それは、「さようなら」をする場所ではない。
「あなたから受け取ったものを、私は、これからも生きていきます」と、静かにバトンを受け取る場所。
だから、お墓は、今日を生きる人のためにある。
そして、明日へ命を渡す人のためにある。
おかえりなさい。
秋のお彼岸。
あなたの心にも、静かな橙色の光が差しますように。

石の個性と、家族の物語をつなぐ。
命のバトンを、未来へつなぐ伴走者。
射場石利石材株式会社
六代目当主 射場一之
【基本情報】
所 在 地:大阪府茨木市新和町16番19号
電話番号:0120-148183
営業時間:8:00~18:00
定 休 日:年末年始のみ
メ ー ル:info@iba.co.jp
L I N E :https://line.me/R/ti/p/@582fiyxj
【資 格】
◇ 大阪府知事許可(般-4) 第87663号
◇ 労働大臣認定 1級技能士石加 第84号
◇ 経済産業省公認 石匠位認定 第89001号
◇ お墓ディレクター1級 05-100101-04
◇ 建築石材アドバイザー 222034
◇ 相続診断士 20333425
◇ 終活ガイド 00005872
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