
2026.05.19
父が死んだ夜、ギターの弦を誰も鳴らせなかった。(77left)

あなたは、誰かの死と向き合ったことがありますか。
本当の意味で。
葬儀の段取りをした、という話ではありません。
涙を流した、という話でもありません。
「あの人が死んだあと、自分はどう生きるのか」
その問いから、逃げなかったことがありますか。
人は、誰かが死んだ瞬間、本当は二つの死と向き合っています。
ひとつは、その人の死。
もうひとつは、
「このままの自分で、生き続けていいのか」
という問いです。
けれど多くの人は、そこに触れません。
悲しみに沈み、やがて日常へ戻る。
それを「乗り越えた」と呼ぶ。
でも、本当は違います。
乗り越えたのではありません。
問いを、静かに先送りにしただけです。
新聞に、こんな短歌が載っていました。
「ギター長男 カメラは次男 吾はピアノ夫の形見を 分け合う夕べ」
その夜、三人は、形見を前に座っていた。
長男が、ギターをそっと手に取る。
弦に指を置いた瞬間、動けなくなった。
父の音が、出てしまいそうで。
次男は、カメラのレンズを覗いた。
このレンズ越しに、父は何を見ていたのだろう。
その視線の奥を、探すように。
妻は、ピアノの前に座ったまま、鍵盤に触れなかった。
ただ、白と黒を、静かに指でなぞっていた。
これは、悲しみの場面ではありません。
継承の場面です。
父は、きっと言葉では残していない。
「ギターはお前に渡す」
「カメラはお前が使え」
「お前が弾いてくれ」
そんなことは、言わなかったでしょう。
でも、伝わった。
なぜでしょうか。
長男が、ギターを愛していることを知っていたから。
次男の目が、世界を切り取ることを知っていたから。
妻とピアノを囲んだ夜が、何度もあったから。
人は、言葉だけで何かを残すわけではありません。
生き方で、渡しているのです。
形見とは、ただの「モノ」ではありません。
そこには、
「お前ならできる」
という、無言の継承が宿っているのです。
あなたは、ちゃんと受け取っていますか。
お墓は、死者のための場所だと思っていますか。
残念ながら、それは違います。
お墓とは、
「自分は、どう生き切るのか」
を確認する場所なのです。
先祖が積み上げてきた時間がある。
今日を生きている自分がいる。
まだ生まれていない、未来の命がある。
その三つが、墓石の前で重なる。
人はそこで、静かに問われます。
「お前は今日、何をしたか。」
これは脅しではありません。
励ましでもない。
構造です。
人間は、自分ひとりで生きていると思い始めた瞬間、弱くなります。
けれどお墓の前に立つと、思い出します。
自分は、“流れ”の中にいるのだと。
誰かから受け取り、誰かへ渡していく途中にいるのだと。
お墓参りとは、死者に会いに行く行為ではありません。
「生きる責任」を、取り戻しに行く行為なのです。
射場石利石材が守っているものは何か。
石ではありません。
場所でもありません。
人が、自分だけで生きていると錯覚しないための構造です。
どれだけ時代が変わっても。
家族の形が変わっても。
「個」が尊重される世界になっても。
人は、ひとりでは生きてこられなかった。
そしてこれからも、ひとりでは、生きていけない。
それを思い出させる場所が、今、急速になくなっています。
だから私たちは、墓石を建て続けています。
「あなたは、繋がっている」
そう伝え続けるために。
三人は、その後どうしたのでしょう。
長男は、やがてギターを弾いたでしょう。
父が好きだった曲を。
ぎこちなく。
震えながら。
次男は、カメラを持って出かけたでしょう。
父が見ていた景色を、探しながら。
妻は、静かにピアノを開いたでしょう。
涙をこらえながら、鍵盤を押したでしょう。
それが、継承です。
後悔が、覚悟に変わる瞬間。
悲しみが、生きる力へ変わる瞬間。
人は、その瞬間から、“受け取る側”ではなく、“渡す側”になります。
お墓参りは、誰かの死を悼むことではありません。
自分は、何を受け取り、何を残して生きるのか。
その問いに、立ち返る時間なのです。
あなたは、今日をどう生きますか?
お墓。
それは、今日を笑顔にするもの。
それは、明日を元気にしてくれるもの。
行ってらっしゃい。
あなたが受け取ったものを、また誰かへ渡していける人生でありますように。
私たちは、墓石を売っているのではありません。
「命は、受け渡されていく」
その事実を、人が忘れないための場所をつくっています。

射場石利石材
六代目当主 射場一之
【基本情報】
所 在 地:大阪府茨木市新和町16番19号
電話番号:0120-148183
営業時間:8:00~18:00
定 休 日:年末年始のみ
メ ー ル:info@iba.co.jp
L I N E :https://line.me/R/ti/p/@582fiyxj
【資 格】
◇ 大阪府知事許可(般-4) 第87663号
◇ 労働大臣認定 1級技能士石加 第84号
◇ 経済産業省公認 石匠位認定 第89001号
◇ お墓ディレクター1級 05-100101-04
◇ 建築石材アドバイザー 222034
◇ 相続診断士 20333425
◇ 終活ガイド 00005872
新着情報
アーカイブ