
2026.09.11
「死ななかった」と「生きた」は、同じではない。シリーズ「お墓は、命のバトン」
※これは、新聞歌壇に掲載された「生きていくことができるかわからない死なないことはできるだろうが」という短歌をもとに、筆者の視点で再構成した物語です。

朝、目を開ける。
息をしている。
今日も、生きている。
……本当に、そうでしょうか。
もしかすると私たちは、「今日も死ななかった」ということを、「今日も生きた」と呼んでいるだけなのかもしれません。
新聞の歌壇に、こんな一首がありました。
「生きていくことができるかわからない死なないことはできるだろうが」
読んだ瞬間、手が止まりました。
胸に残ったのは、「死」という言葉ではありません。
「生きる」という言葉でした。
私たちは仕事柄、人が亡くなった「その後」に、ご家族と向き合います。
ある日、一人の息子さんが来店されました。
82歳で亡くなったお父様のお墓を建てるためです。
ところが、10年以上、父子は口をきいていなかったそうです。
「お墓には、どんな言葉を彫りましょうか」
そう尋ねると、息子さんは黙りました。
長い沈黙のあと、ぽつりと、こう言ったのです。
「父が、何を大事に生きたのか。私は、知りません。」
その言葉を聞いたとき、私は思いました。
お墓を建てるというのは、亡くなった人の名前を石に刻むことだけではない。
その人が、何を大切にし、何を選び、どう生きたのか。
その人生を、もう一度、残された人が見つめ直すことなのだ、と。
死んだ父の話をしていたはずなのに、いつの間にか、息子さんは、「自分は、どう生きてきたのか」を話していました。
石は、黙っています。
雨に打たれる。
風にさらされる。
苔が生える。
それでも、そこに在り続ける。
過去に、誰かが選んだ。
今、誰かが受け取る。
そして、これから生まれてくる誰かへ、また渡されていく。
石は、その時間を黙ってつないでいきます。
だから私は、お墓を「終わり」だとは思っていません。
むしろ、次の人生へ渡すための「始まり」だと思っています。
お墓は、死者のためだけにあるのではありません。
生きている人が、自分の人生をもう一度、選び直すためにある。
そう思っています。
私たち射場石利石材が、三百年以上、この仕事を続けてきた理由も、そこにあります。
石を彫る。
それは、過去を固定することではありません。
「あなたは、まだ選べる」ということを、消えない形で残すことです。
私たちは、お墓の前で手を合わせます。
亡くなった人に、「ありがとう」と伝える。
「元気でやっています」と報告する。
「見守っていてください」と願う。
でも、もしかすると――
その瞬間、一番見つめ直しているのは、自分自身なのかもしれません。
私は、どう生きたいのか。
誰を大切にしたいのか。
何を、次の世代に渡したいのか。
お墓の前では、人生の答えが、静かに浮かび上がってきます。
「生きているのか。それとも、死ねないだけなのか。」
そんな問いに、今日、答えを出さなくても大丈夫。
でも、一つだけ選んでみてください。
電話をかける。
花を買う。
誰かに、「ありがとう」と言う。
会いたかった人に、会いに行く。
先延ばしにしていたことを、ひとつ始める。
大きなことでなくていい。
人生は、大きな決断だけで変わるものではありません。
今日の小さな選択が、明日の自分をつくっていく。
そして、その選択の積み重ねが、いつか、誰かに受け継がれる「生き方」になる。
「死ななかった」を、「生きた」に変えるのは、特別なことではありません。
今日、自分で一つ、選ぶことです。
そして、その一つを、誰かに渡すことです。
それが、命のバトンになるのです。
お墓。
それは、今日を笑顔にするもの。
明日を、少し元気にしてくれるもの。
そして、自分がどう生きたかを、未来に渡していくもの。
お墓は、命のバトンです。
おかえりなさい。
白露の風が、あなたの心にも、そっと寄り添ってくれますように。

石の個性と、家族の物語をつなぐ。
命のバトンを、未来へつなぐ伴走者。
射場石利石材株式会社
六代目当主 射場一之
【基本情報】
所 在 地:大阪府茨木市新和町16番19号
電話番号:0120-148183
営業時間:8:00~18:00
定 休 日:年末年始のみ
メ ー ル:info@iba.co.jp
L I N E :https://line.me/R/ti/p/@582fiyxj
【資 格】
◇ 大阪府知事許可(般-4) 第87663号
◇ 労働大臣認定 1級技能士石加 第84号
◇ 経済産業省公認 石匠位認定 第89001号
◇ お墓ディレクター1級 05-100101-04
◇ 建築石材アドバイザー 222034
◇ 相続診断士 20333425
◇ 終活ガイド 00005872
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