
2026.08.26
夜になると、亡くなった母が帰ってくる。──「お墓は、命のバトン」。

※本稿は、新聞に掲載された短歌を題材に、筆者の視点で再構成したものです。筆者自身の体験ではありません。
暑さが、悲しみを消してくれた。
そんな瞬間が、あるのかもしれません。
灼けるアスファルト。
噴き出す汗。
息苦しいほどの酷暑。
母を亡くした悲しみさえ、忘れるほどの暑さ。
「母の亡き痛みを痺れさすほどの酷暑の中を買い物に行く」
新聞の歌壇にそんな一首がありました。
汗が噴き出す。
息が詰まる。
頭がくらくらする。
その苦しさに意識を奪われているあいだだけ、悲しみは、少し遠くなる。
でも。
悲しみが消えたわけではありません。
ただ、暑さの向こう側に隠れていただけです。
そして夜になる。
冷房の音だけが響く部屋。
昼間は忙しさで埋まっていた時間が、静かになる。
買い物もない。
することもない。
そこに、母がいない。
その瞬間、昼間は見えなかった悲しみが、戻ってくる。
だから、悲しいのです。
弱いからではありません。
忘れられないからでもありません。
大切だったからです。
人は、忙しさで悲しみを紛らわせることはできても、悲しみそのものを消すことはできません。
では、どうするのか。
一人で抱え続けなくていい場所を、つくればいい。
私は、それがお墓の役割の一つだと思っています。
お墓は、死んだ人のためだけにあるのではありません。
そこには、かつて、あなたを育ててくれた人がいる。
いま、その人を想っているあなたがいる。
そして、その想いをいつか受け取る、まだ見ぬ誰かがいる。
過去と、現在と、未来。
三つの時間が、ひとつの場所でつながる。
それがお墓なのではないでしょうか。
お墓の前では、声に出さなくてもいい。
「お母さん」
そう心の中で呼ぶだけでもいい。
今日あったことを話してもいい。
「暑かったよ」
「疲れたよ」
「なんとかやってるよ」
それだけでもいい。
すると不思議なことに、悲しみは「自分だけのもの」ではなくなっていく。
母から受け取ったもの。
自分が生きていること。
そして、これから誰かに渡していくもの。
その全部が、一本の線でつながっていく。
だから私は、お墓を「死の場所」とは思いません。
命が、もう一度つながる場所。
そう思っています。
暑さの中を、今日も買い物に行かなければならない。
それは変わらない。
悲しみも、すぐには消えない。
でも。
帰り道に、お墓へ寄ってみてください。
夜、一人で悲しみや後悔に襲われる前に。
話さなくてもいい。
手を合わせるだけでもいい。
「今日も来たよ」
それだけでいい。
痛みは、なくならないかもしれません。
けれど、一人で抱えなくてよくなる。
それだけで、また明日、立って歩けることがあります。
そして、いつか気づくのです。
母から受け取ったのは、身体だけではなかった。
言葉だった。
背中だった。
生き方だった。
愛し方だった。
だから、命は、誰かの身体では終わらない。
誰かの生き方の中で、受け継がれていく。
お墓は、過去をしまっておく場所ではありません。
未来へ、命のバトンを渡す場所なのです。
おかえりなさい。
この酷暑が過ぎた夜、あなたの心にも、静かな涼が訪れますように。
命は、誰かの身体では終わらない。
誰かの生き方の中で、受け継がれていく。

命のバトンを未来へつなぐ伴走者
射場石利石材株式会社
六代目当主 射場一之
【基本情報】
所 在 地:大阪府茨木市新和町16番19号
電話番号:0120-148183
営業時間:8:00~18:00
定 休 日:年末年始のみ
メ ー ル:info@iba.co.jp
L I N E :https://line.me/R/ti/p/@582fiyxj
【資 格】
◇ 大阪府知事許可(般-4) 第87663号
◇ 労働大臣認定 1級技能士石加 第84号
◇ 経済産業省公認 石匠位認定 第89001号
◇ お墓ディレクター1級 05-100101-04
◇ 建築石材アドバイザー 222034
◇ 相続診断士 20333425
◇ 終活ガイド 00005872
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