
2026.06.18
お墓は死者のためではない――「夫なき吾れと父なき子」が教えてくれたこと(57left)

「黄金週間夫なき吾れと父なき子」
この一句を読んで、何も感じなかったなら。
あなたはまだ、大切な人を失ったことがないのかもしれません。
あるいは、失ったことを、まだ認めていないのかもしれません。
「黄金週間夫なき吾れと父なき子」
新聞の俳壇に、この一句が載っていました。
世の中は楽しそうだった。
家族連れの笑顔があふれ、観光地は賑わい、高速道路は長い渋滞をつくる。
その隣で、この人は見ている。
夫のいない自分を。
父のいない子を。
それだけを。
悲しい句だ。
そう言って終わらせてはいけません。
そう言った瞬間、この句はただの感想になります。
この句は、悲しみを語っているのではありません。
事実を書いています。
夫がいない。
父がいない。
連休だから、その空白がいつもより見える。
ただ、それだけです。
でも、人は知っています。
その「それだけ」が、人生では一番重いことを。
あなたのとなりに、いない人はいるでしょうか。
いないと答えた人も、いつか必ず、その日を迎えます。
去年はいたのに、今年はいない……。
人生は足し算では終わりません。
誰かが欠ける。
誰かが先にいなくなる。
この句が突いているのは、死ではない。
孤独でもありません。
もっと静かなものです。
毎年同じ季節になると、思い出してしまう人がいるということ。
生きている限り、消えない空白があるということです。
そこで、お墓の話をさせてください。
私はこれまで、向かう場所を持たない人を何人も見てきました。
仏壇はある。
位牌もある。
写真も飾ってある。
でも、足を運んで会いに行く場所がない。
手を合わせる場所がない。
声をかける場所がない。
そういう人たちは、連休になるとどうするのか。
誰にも言わない。
誰にも見せない。
ただ静かに、家の中で写真を見つめている。
悲しみは、時間が解決すると思われています。
でも違います。
悲しみは、出口があると流れていきます。
出口がないと、沈殿します。
心の奥へ。
言葉にならない場所へ。
そして人は、悲しみを抱えていることさえ忘れながら生きていく。
消えたのではありません。
沈んだだけです。
だから苦しい。
句の中の「父なき子」を考えてみてください。
その子は今はまだ、父の死を理解していないかもしれない。
でも、いつか理解する日が来る。
友達が父親と歩く姿を見たとき。
進学のとき。
結婚のとき。
子どもが生まれたとき。
人生の節目で、何度も父を探す日が来る。
そのとき、どこへ会いに行けばいいのでしょう。
母の話だけでは足りない。
写真だけでも足りない。
思い出だけでも足りない。
立って。
手を合わせて。
声をかけられる場所。
ただそれだけの存在が、人を支えることがあります。
向かう場所がない子は、父を自分の中だけで抱え続けることになります。
外へ置くことができない。
分けることができない。
一人で持ち続けるしかない。
向かう場所がある子は違います。
父を自分の外側にも置いておける。
会いに行ける。
話しかけられる。
涙を置いて帰れる。
これは精神論ではありません。
構造の話です。
お墓は、過去をしまっておく箱ではありません。
亡くなった人のためにあるのでもない。
残された人のためにあるのです。
会えない人を、忘れないためではありません。
一人で背負わないためにあるのです。
人は、悲しみを抱えて生きることはできます。
でも、抱え続けることはできません。
だから人類は、何千年も前からお墓をつくってきた。
そこへ行けば会える。
声をかけられる。
涙を置いて帰れる。
そのために。
家族連れの姿を見るたび、空白に気づく。
それは不幸なことではありません。
気づけるということは、まだつながっているということだからです。
本当に切れてしまったものは、思い出すことさえできません。
夫なき吾れと父なき子に。
この句を詠んだ人は、空白から目をそらさなかった。
正面から見た。
そして十七音に刻んだ。
その強さに、私は深く頭を下げたいです。
向かう場所がある人は、何度でも戻ることができます。
悲しみのために。
感謝のために。
そして、明日を生きるために。
私たちは、墓石を売っているのではありません。
命は、受け渡されていく。
その事実を忘れないための場所を、つくっています。
夫なき吾れ。
父なき子。
その空白が、孤独にならないように……。

射場石利石材
六代目当主 射場一之
【基本情報】
所 在 地:大阪府茨木市新和町16番19号
電話番号:0120-148183
営業時間:8:00~18:00
定 休 日:年末年始のみ
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【資 格】
◇ 大阪府知事許可(般-4) 第87663号
◇ 労働大臣認定 1級技能士石加 第84号
◇ 経済産業省公認 石匠位認定 第89001号
◇ お墓ディレクター1級 05-100101-04
◇ 建築石材アドバイザー 222034
◇ 相続診断士 20333425
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