
2026.06.11
「面倒くさい」は、人生の終わりの始まり。(61eft)

「面倒くさい」は、始まりではありません。
終わりです。
人は、嫌いになったから離れるのではありません。
忘れたから離れるのでもありません。
「まあ、いいか」
そう思った瞬間から、少しずつ離れていきます。
人も。
場所も。
先祖も。
そして最後には――
自分自身からも。
お墓参り、今年は行きましたか。
忙しいから。
遠いから。
暑いから。
寒いから。
理由はいくらでもあるでしょう。
最初は理由がある。
でも、やがて理由は消える。
残るのは、「まあ、いいか」という一言だけ。
そして、その一言が積み重なるたびに、人は大切な何かから静かに遠ざかっていくのです。
ある女性の話をしましょう。
長年使っていた万年筆の調子が悪くなった。
ペン先が引っかかる。
インクの出も悪い。
もう寿命かもしれない。
それでも彼女は捨てなかった。
なぜなら、その万年筆は、50年前に亡き夫が買ってくれたものだったからです。
ある日、テレビで万年筆修理店を知った。
次女に付き添われながら、少し緊張した面持ちで店の扉を開いた。
職人は丁寧に万年筆を見つめ、静かに言った。
「大丈夫ですよ。洗浄すれば直ります」
大がかりな修理は必要なかった。
長年たまった汚れを落としただけだった。
家に帰り、彼女は机に向かったことでしょう。
そして、修理された万年筆を手に取り、紙の上へそっと走らせた。
その瞬間――
50年前の夫が、すぐ隣にいるような気がしたのではないか。
そんな気がしてなりません。
私たちはよく、「思い出」という言葉を使います。
便利な言葉です。
その一言で、過去を過去として整理できる。
区切ることができる。
身軽にもなれる。
でも、本当にそうでしょうか。
その万年筆は、思い出ではなかった。
現役だった。
インクを入れれば、今日も文字を書ける。
50年前の夫の選択が、今日も彼女の手の中で生きている。
それは、過去とつながっているのではありません。
過去が、今日も生きているのです。
あなたの中にも、そんなものがあるはずです。
捨てられなかったもの。
忘れられなかった人。
気づけば、ずっと持ち続けている何か。
それを私たちは、思い出という棚にしまい込んでいるだけかもしれません。
人は誰かとのつながりの中で、自分が何者なのかを知ります。
親の背中を見て、自分の姿勢を知る。
祖父母の生き方を知って、自分の立ち位置を知る。
先祖の選択を知って、自分の進む方向を知る。
だから、そのつながりが薄くなると、人は自由になるわけではありません。
ただ、軽くなる。
根を失った木が軽いように。
錨を失った船が軽いように。
軽いものは、どこへでも行けます。
でも、どこにも辿り着けません。
お墓は、死者のためにあるのではありません。
むしろ逆です。
生きている私たちのためにある。
先祖がいて、親がいて、自分がいる。
そして、その先に子や孫がいる。
お墓とは、その流れを目に見える形にしたものです。
お墓の前に立つとき、不思議な感覚になります。
言葉にはできない。
感傷とも少し違う。
ただ、確かなものがある。
「ああ、自分はひとりではなかった」
その感覚です。
その安心感です。
その静かな確信が、今日を生きる力になる。
明日の選択を支える。
だから、お墓参りは過去へ行くことではありません。
未来へ戻ってくることなのです。
射場石利石材が守っているのも、石ではありません。
つながりです。
人は、目に見えないものから失っていきます。
感謝。
敬意。
記憶。
祈り。
絆。
だから、形にする。
石にする。
残す。
石は語らない。
けれど、消えない。
風雨にさらされても、そこに立ち続ける。
そして何十年も、何百年も、こう語り続ける。
「あなたはここから来た」
その事実を。
万年筆を捨てなかった女性は、きっと、「大切にしよう」と思って持っていたわけではない。
ただ、捨てられなかったのです。
けれど、その「捨てられなかった」が、50年後の今日、彼女を支えていた。
あなたにも、きっとある。
捨てられなかったものが。
会いに行きたかった人が。
「まあ、いいか」
と言えなかった記憶が。
それは弱さではありません。
あなたの根です。
あなたの正体です。
だから、たまには帰りましょう。
お墓へ。
故郷へ。
大切な人のもとへ。
いや――
思い出の場所へではありません。
いまもなお、あなたの中で生き続けているもののところへ。
お墓。
それは、今日を笑顔にするもの。
そして、明日を生きる力を思い出させてくれるもの。
おかえりなさい。
あなたの中で、まだ生きているものが、今日も静かに、あなたを照らしていますように。
私たちは、墓石を売っていません。
過去と未来のあいだで、人がもう一度、自分を思い出せる場所をつくっています。
後悔を、感謝へ。
感謝を、明日への力へ。
それが、私たちの仕事です。

射場石利石材
六代目当主 射場一之
【基本情報】
所 在 地:大阪府茨木市新和町16番19号
電話番号:0120-148183
営業時間:8:00~18:00
定 休 日:年末年始のみ
メ ー ル:info@iba.co.jp
L I N E :https://line.me/R/ti/p/@582fiyxj
【資 格】
◇ 大阪府知事許可(般-4) 第87663号
◇ 労働大臣認定 1級技能士石加 第84号
◇ 経済産業省公認 石匠位認定 第89001号
◇ お墓ディレクター1級 05-100101-04
◇ 建築石材アドバイザー 222034
◇ 相続診断士 20333425
◇ 終活ガイド 00005872
新着情報
アーカイブ