
2026.05.29
後悔を、置いてこなくていい場所(67left)

お墓の前で、足が止まったことがありますか。
立ちすくんで、何も言えなくなる。
泣こうとしても、涙が出ない。
ただ、石を見ている。
でも、それは──冷たい人間だからではありません。
言えなかったことが、多すぎるのです。
新聞の俳壇に、こんな句がありました。
「母の日の母の遺影を幾度も拭く」
幾度も。
拭き終わっても、また拭く。
汚れているからではありません。
触れていたいからです。
もう一度だけ、顔を見たいからです。
たぶん、この人の手は、その日、止まらなかった。
―――――――――――――――――――――――――
雨の日だった。
ある女性が、ひとりで墓前に立っていた。
傘を持ったまま、長い時間、動かなかった。
やがて、小さな声で言った。
「……ごめんね。」
それだけだった。
でも帰り道、彼女の顔は、来たときと少し違っていた。
何かを置いてきたわけじゃない。
“ごめんね”は、消えていない。
ただ、それを抱えたまま、
「じゃあ今日を、どう生きるか」
そこへ、静かに向き直っていた。
―――――――――――――――――――――――――
私たちは、いつの間にか、お墓を「過去の場所」だと思っています。
終わりを確認する場所。
死を思い知らされる場所。
行かなければいけない場所。
だから、足が重くなる。
だから、「忙しくて」が、こんなにも滑らかに出てきます。
でも、本当は違います。
あそこには、過去の人がいる。
あそこには、いまの自分が立つ。
そして、まだ生まれていない誰かへ続く時間が、静かに流れている。
ひとつの石の前に、三つの時間が重なっている。
過去。
現在。
未来。
その全部が、あそこで、つながっているのです。
それが、お墓という場所です。
射場石利石材が守っているのは、石ではありません。
「あなたが、ひとりにならないための構造」です。
石は、何も話さない。
でも、ちゃんと、そこにいる。
誰も来ない日も。
あなたが忘れていた日も。
雨の夜も。
真夏の昼も。
ずっと、そこにいる。
それは、安心という言葉より、もっと静かで、もっと深いものです。
「帰れる場所がある」
その、名前のない確かさ。
孤独にならないための、見えない骨格。
お墓とは、死者のためだけのものではありません。
残された人が、もう一度、生きていくための場所なのです。
後悔は、置いてこなくていい。
消さなくていい。
忘れなくていい。
そのまま抱えて、立てばいいのです。
「もっと話せばよかった」
「最後に、ちゃんと言えばよかった」
その重さは、愛した重さです。
それだけ、大切だった証拠です。
そして──
後悔を抱えたまま、お墓の前に立つと、不思議なことが起こります。
後悔が少しずつ、
「じゃあ今日は、どう生きるか」
という問いに、変わっていきます。
お墓は、過去のものじゃない。
後悔の捨て場でもない。
今日を、生き直す場所です。
だから、行ってみてください。
何も言えなくていい。
泣けなくてもいい。
ただ、立ってみてください。
石の前で、静かに、呼吸をしてみてください。
すると、聞こえてくる。
「ちゃんと、生きろよ」
「今日を、大事にしろよ」
そんな声にならない声が、胸の奥で、静かに響きはじめる。
遺影を幾度も拭いたあの人は、今日も、生きていた。
母親に、生かされながら。
人は、亡くなった人によって、生き続ける。
姿が見えなくなっても。
声が聞こえなくなっても。
その人にもらった愛は、今日の自分の中で、まだ呼吸をしている。
お墓。
それは、今日を笑顔にするもの。
明日を、もう一度、生きようと思わせてくれるもの。
帰る場所がある人は、強い。
想い出せる人がいる人は、優しい。
そして、手を合わせる時間を持つ人は、きっと、ひとりではない。
おかえりなさい。
青葉の風が、今日も静かに、あなたを待っていますように。

射場石利石材
六代目当主 射場一之
【基本情報】
所 在 地:大阪府茨木市新和町16番19号
電話番号:0120-148183
営業時間:8:00~18:00
定 休 日:年末年始のみ
メ ー ル:info@iba.co.jp
L I N E :https://line.me/R/ti/p/@582fiyxj
【資 格】
◇ 大阪府知事許可(般-4) 第87663号
◇ 労働大臣認定 1級技能士石加 第84号
◇ 経済産業省公認 石匠位認定 第89001号
◇ お墓ディレクター1級 05-100101-04
◇ 建築石材アドバイザー 222034
◇ 相続診断士 20333425
◇ 終活ガイド 00005872
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