
2026.08.03
350人の名前は、なぜ消えなかったのか。シリーズ「お墓は、命のバトン」(14left)

※本稿は新聞の記事で紹介された実話をもとに、筆者の視点で再構成しています。
あなたの家族の名前は、百年後も、誰かの心に残っているでしょうか。
石に刻めば、永遠に残る。
そう思ってしまいます。
けれど本当に名前を残すのは、石ではありません。
人です。
受け継ぐ人がいるから、名前は生き続けます。
広島市に住む稲垣紘子さん、85歳。
毎月8日になると、掃除道具を積んだかごを自転車に載せ、静かに家を出ます。
向かう先は、旧制県立広島第二中学校の慰霊碑。
そこには、原爆で亡くなった約350人の生徒たちの名前が刻まれています。
その中に、兄・岩崎全孝さんの名前もあります。
十三歳でした。
1961年。
兄が命を落とした場所に、慰霊碑が建てられました。
それ以来、梅雨が明ける頃になると、両親は毎年そこへ通いました。
兄たちが被爆後に飛び込んだ川の水を汲み、その水で墨をすります。
風雨にさらされ、白く薄れていく名前を、一人ひとり、何日もかけて、黒くなぞっていく。
指先は、毎年、墨で黒く染まりました。
それは掃除ではありません。
供養でもありません。
消えていくことへの、静かな宣戦布告でした。
やがて両親は亡くなります。
その思いを受け継いだのが、稲垣さんでした。
毎月8日。
約6時間かけて、慰霊碑を掃除します。
誰に頼まれたわけでもありません。
義務でもありません。
それでも、今年も続けます。
掃除が終わると、刻まれた350人、一人ひとりの名前へ、お茶をかけます。
まるで、「今年も来ましたよ」と語りかけるように。
お墓とは、何でしょうか。
亡くなった人のための場所でしょうか。
私は、少し違うと思います。
お墓とは、過去と現在、そして、まだ会ったことのない未来をつなぐ場所です。
お墓とは、名前を未来へ手渡すものです。
命は、身体の中で終わるものではありません。
誰かの生き方の中で、受け継がれていくものだからです。
射場石利石材が守りたいものも、同じです。
墓石だけではありません。
「忘れられない家族」がいる未来です。
稲垣さんが、今月もペダルを踏むその道には、兄がいます。
両親がいます。
墨で黒く染まった指先があります。
そして、まだ会ったことのない未来の誰かがいます。
その人が、いつの日か慰霊碑の前に立ち、
名前を見上げ、「ここに生きた人がいた」
そう思えるように。
今日も、命のバトンは静かに渡されています。
あなたの家族の名前は、誰が受け継ぐでしょう。
墨でしょうか。
言葉でしょうか。
生き方でしょうか。
名前は、石だけに残るものではありません。
誰かが受け継いだ一歩の中に、生き続けるものです。
蝉の声は、今年も変わりません。
変わるのは、その声を聞く私たちです。
けれど、名前を受け継ぐ人がいる限り、命は終わりません。
命は、誰かの身体では終わらない。
誰かの生き方の中で、受け継がれていく。
お墓は、命のバトン。

命のバトンを未来へつなぐ伴走者
射場石利石材株式会社
六代目当主 射場一之
【基本情報】
所 在 地:大阪府茨木市新和町16番19号
電話番号:0120-148183
営業時間:8:00~18:00
定 休 日:年末年始のみ
メ ー ル:info@iba.co.jp
L I N E :https://line.me/R/ti/p/@582fiyxj
【資 格】
◇ 大阪府知事許可(般-4) 第87663号
◇ 労働大臣認定 1級技能士石加 第84号
◇ 経済産業省公認 石匠位認定 第89001号
◇ お墓ディレクター1級 05-100101-04
◇ 建築石材アドバイザー 222034
◇ 相続診断士 20333425
◇ 終活ガイド 00005872
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