射場石利石材株式会社

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2026.07.30

師は死んだ。なのに、命は増え続けた。~シリーズ『お墓は、命のバトン』(18left)

 

 

今日は、七月三十日。

 

左千夫忌。

 

『野菊の墓』で知られる歌人・伊藤左千夫が、この世を去った日です。

 

けれど、命を受け継ぐという視点で見れば、今日は「命が終わった日」ではありません。

 

命が、未来へ歩き始めた日です。

 

だから今日は、左千夫の死ではなく、左千夫が残した命について、少しだけお話ししたいと思います。

 


 

あなたは、人生の最後に、何を遺しますか。

 

財産でしょうか。

 

名前でしょうか。

 

写真でしょうか。

 

違います。

 

人が本当に遺すものは、誰かの生き方です。

 

だから、お墓は、死者のためだけにあるのではありません。

 

命が、次の命へ歩き出す場所なのです。

 


 

明治の終わり。

 

一人の男がいました。

 

伊藤左千夫。

 

夜明け前に起き、牛の乳を搾る。

 

冷たい水で瓶を洗い、ひび割れた手で、一日を終える。

 

朝は牛を育て、夜は言葉を育てた。

 

三十六歳。

 

まだ、自分の歌を、誰にも見せたことのない男でした。

 

そこで出会ったのが、正岡子規です。

 

初めて、自分の歌を、最後まで読んでくれる人がいた。

 

初めて、自分の言葉が、誰かの心に届いた。

 

その日から、牛飼いは歌人になりました。

 


 

けれど。

 

その幸福は、わずか二年で終わります。

 

子規は死にました。

 

左千夫は、遺されました。

 

もう、歌を読んでくれる人はいない。

 

もう、「そのまま行け」と背中を押してくれる人もいない。

 

牛の乳を搾る手だけが、静かに残りました。

 

歌をやめても、誰も責めなかったでしょう。

 

師とともに、夢を終わらせても、誰も不思議には思わなかったでしょう。

 

それでも、左千夫はやめませんでした。

 

なぜでしょう。

 

師から受け継いだものは、歌ではなかったからです。

 

「一人にしない。」

 

その生き方を、受け継いだからです。

 


 

孤独の中で、左千夫は雑誌を興します。

 

『馬酔木』。

 

そして、のちの『アララギ』。

 

まだ名もない若者たちを、そこへ迎え入れました。

 

自分が味わった孤独を、次の誰かには、味わわせたくなかった。

 

だから彼は、歌を教えたのではありません。

 

居場所を遺したのです。

 


 

お墓とは、何でしょう。

 

死者のための場所。

 

そう思われがちです。

 

けれど、私は違うと思います。

 

お墓とは、まだ生まれていない誰かと、すでに旅立った誰かを、いま生きる私たちが、結び直す場所です。

 

左千夫がしたことも、まったく同じでした。

 

子規という過去を、未来の誰かへ、自分という「今」を通して、手渡していったのです。

 


 

左千夫は、四十八歳で亡くなります。

 

師と出会ってから、わずか十三年後でした。

 

あまりにも短い人生です。

 

けれど、命は終わりませんでした。

 

彼が育てた若者たちは、さらに次の世代を育てました。

 

そのまた次の世代へ。

 

さらに、その先へ。

 

雑誌『アララギ』は、もうありません。

 

けれど、そこで受け継がれた命は、今もどこかで歌となり、誰かの人生を照らしています。

 

左千夫が亡くなったとき、まだ生まれてもいなかった人の中でさえ。

 

それが、命が受け継がれるということです。

 


 

射場石利石材が守っているものも、石ではありません。

 

安心でもありません。

 

守っているのは、「一人にしない」という生き方です。

 

左千夫が、若者たちを迎え入れたように。

 

お墓もまた、未来の子孫が、人生で迷ったとき、

 

「あなたは一人ではない」

 

そう静かに語りかける場所なのです。

 


 

お墓の前に立つ時間は、ただ手を合わせる時間ではありません。

 

自分は、何を受け継ぎ、何を渡していくのか。

 

その覚悟を、静かに決める時間です。

 

今日、手を合わせるだけで帰るのか。

 

それとも、未来へ渡すものを、一つ決めて帰るのか。

 

お墓は、その問いを、何も語らず、私たちへ返してくれます。

 


 

お墓。

 

それは、今日を笑顔にするもの。

 

それは、明日を元気にしてくれるもの。

 

おかえりなさい。

 

蝉の声が響くこの夏。

 

あなたが今日決めた一歩は、きっと、まだ会ったことのない誰かの人生で、静かに花を咲かせます。

 


 

命は、誰かの身体では終わらない。

 

誰かの生き方の中で、受け継がれていく。

 

お墓は、命のバトン。

 


 

命のバトンを未来へつなぐ伴走者

射場石利石材株式会社

 六代目当主 射場一之

 

 

 

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【資 格】
◇ 大阪府知事許可(般-4) 第87663号
◇ 労働大臣認定 1級技能士石加 第84号
◇ 経済産業省公認 石匠位認定 第89001号
◇ お墓ディレクター1級 05-100101-04
◇ 建築石材アドバイザー 222034
◇ 相続診断士 20333425
◇ 終活ガイド 00005872

 

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