射場石利石材株式会社

営業時間:午前8時〜午後6時 無休(年末年始休み)

0120-148-183

お問い合わせはこちら

ブログ

2025.11.10

想像力が苦手な人のために、お墓はある(253X left)

  1.  

 

ヨシタケシンスケさんの絵本にこんな言葉があります。

「世の中には、想像力を使うのが苦手な人がいる」

私は60年生きてきて、この言葉の重さを、お墓の前に立つたびに感じています。

 

元禄十五年、1702年。

私の家はこの年に創業しました。

それから323年、私たちはお墓と向き合い続けてきました。

毎日、石を彫り、磨き、そして多くのご家族の物語に寄り添ってきました。

その中で気づいたことがあります。

お墓参りをする人の中には、二種類の人がいます。

一つは、墓石の前で亡き人と自然に対話できる人。

もう一つは、何をどう感じればいいのか分からず、ただ手を合わせるだけで終わってしまう人。

どちらが良い悪いではありません。ただ、想像力には個人差がある。それだけのことです。

 

 

あなたは、祖父母の若い頃を想像できますか?

突然の質問で申し訳ありません。

でも、考えてみてください。あなたの祖父母が二十歳だった頃のことを。

どんな服を着て、どんな夢を見て、どんな恋をしていたか。

想像できる人もいるでしょう。

写真を見たことがある人、話を聞いたことがある人。

でも、多くの人は想像できません。それが普通なのです。

 

私たちは、目の前にいない人のことを想像するのが、驚くほど苦手な生き物です。

昨日会った友人のことさえ、今この瞬間に鮮明に思い出すのは難しい。

ましてや、会ったことのない曾祖父母や、まだ見ぬ孫の世代のことなど。

そして、その想像力の欠如が、私たちの暮らしから何かを奪っています。

 

 

豊かさとは、時間軸の広がりです

私は石材店の当主として、多くの家族を見てきました。

本当に豊かそうな家族には、ある共通点があります。

それは、過去と未来への意識が、今を生きる力になっているということです。

 

「おじいちゃんは戦争を生き抜いた。だから私も頑張れる」

「この子の子どもが大人になる頃、この日本はどうなっているだろう」

「父はこう生きた。だから私はこう生きたい」

 

時間軸が長い。視野が広い。

 

一方で、今だけを生きている人は、どこか不安そうです。

目の前のことに追われ、疲れ果てている。

過去からの贈り物に気づかず、未来への責任も感じない。

なぜでしょうか。

想像する「装置」を持っていないからです。

 

 

お墓は、時間をつなぐ装置です

ここで、私の仕事の本質をお話しします。

 

私たちはお墓を売っているのではありません。

私たちは、家族の「現在・過去・未来をつなぐ装置」を提供しています。

想像力が苦手な人でも、お墓の前に立てば、過去の人々の存在を実感できます。

名前が刻まれている。

日付が刻まれている。

そこに確かに生きた証があります。

 

子どもを連れて墓参りをする。

子どもは聞きます。

「この人って誰?」親は答えます。

「あなたのひいおじいちゃんだよ。漁師さんでね…」

 

物語が生まれます。

記憶が継承されます。

 

そして、自分もいつかここに名前が刻まれる。

その時、孫やひ孫が自分のことを思い出してくれるかもしれない。

 

過去があり、現在があり、未来があります。

 

その連続性を、想像力が苦手な人でも感じられるように、私たちはお石をつくります。

 

 

私が323年目の当主として思うこと

元禄十五年から数えて、私は何代目かも分からないほどの歴史を引き継いでいます。

 

初代の顔も知りません。

声も知りません。

でも、彼が彫った墓石は今も残っています。

その墓石の前で、今も誰かが手を合わせています。

それは奇跡ではないでしょうか。

 

300

年以上前の職人の手仕事が、今も人の心を支えています。

想像力を補い、記憶を呼び起こし、家族をつないでいます。

私は、その仕事の尊さに、還暦を迎えたいま、ようやく気づきました。

お墓は重い。

冷たい。

動かない。

 

でも、だからこそ、移り変わる世の中で、変わらない何かを支えられます。

 

想像力が苦手な人のために。

忙しくて過去を振り返る余裕がない人のために。

未来を考える手がかりが欲しい人のために。

お墓はあります。

 

 

あなたに問いたいことがあります

最後に、あなたに問いたいことがあります。

本当に豊かな暮らしとは何でしょうか。

それは、高級車でも、大きな家でも、海外旅行でもありません。

それは、自分がどこから来て、どこへ向かっているかを知っていることではないでしょうか。

自分一人で生きているのではなく、過去からのバトンを受け取り、未来へ渡していく存在だと自覚すること。

その自覚が、今日という日に深みを与えます。

お墓は、その自覚を助ける装置です。

 

 

 


私、射場一之は、元禄十五年から続く射場石利石材の当主として、あなたの家族の物語をつなぐお手伝いがしたいと思っています。

想像力が苦手でもいい。

忙しくてもいい。

どう向き合えばいいか分からなくてもいい。

私たちには323年の知恵があります。

 

あなたの家族の過去を掘り起こし、現在を確かめ、未来への道標を立てる。

そのすべてを、石に刻む技術と心があります。

お墓のことで迷ったら、射場石利石材にご相談ください。

私たちは、あなたの家族の時間をつなぎます。

それが、本当の豊かさへの第一歩だからです。

 

 

 

 

 

  • 一覧へ戻る